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2005年9月21日 (水)

冬物語

さだまさしさんのアルバム、「とこしへ」に「冬物語」という曲が入っている。テレビ

でも歌っていた。その時の記事にも書いたが、とても印象に残る歌だったのでテレビ

で聴けて嬉しかったと同時に、ますますこの曲の奥深さを知った気がする。

主人公の恋人は、「君影草」という呼び名があるスズランのブーケを胸に嫁ぐ日を

夢見ていた。しかし、主人公は彼女を傷つけるばかりで、それでも「互いの温もり

だけは信じていた 冬物語」とある。やがて、主人公は都会へ出るため彼女と別れ

「幾星霜」 やがて、彼女が嫁いだことを知り、「独りっきり声をあげて泣いた」のだ。

「宝物だった 冬物語」と続く。

初めてこの曲を聴いたとき、とても印象に残ったのは、「スズラン」と「ライラック」

だった。「幾星霜のライラック」というフレーズがある。スズランは「恋人に捧げる花」

彼女の全てを象徴している。何も求めず、与える女性なのだろう。一方のライラック

は「片恋の花」、白いライラックは青春のシンボルだそうだ。

彼女が嫁いだことを知ったとき、主人公は涙を流す。それも思いっきり声をあげて。

この涙はどんな涙なのかとあれこれ想像してみる。

「声をあげて泣く」時というのは、いろんな感情が複雑に絡み合うのではないだろう

かと思う。きっと主人公もそうだったのではないかと想像する。彼女がなぜ、スズラン

の花のブーケを夢見ていたのか。彼女は主人公にとって、この花の守護神、春の

女神オスタラのような人であったこと。そんな彼女を傷つけてばかりだった自分の

愚かさ、そして、自分がどんなに彼女を愛していたのか・・・そんないろんなことが

初めて分かった瞬間だったのではないだろうか。そして、とっくに終わっていたと

思っていた「幾星霜のライラック」に自分がどれだけ支えられてきたのかということ

も。彼女が嫁いだことを知って、「宝物だった冬物語」が本当に終わったのだと

いう惜別の涙でもあったと思う。青春との本当のお別れ。

スズランとライラック、二つの花と季節に象徴された奥深い歌。私はこんな風に

思っている。そしてまたこんな歌を作るさだまさしさんを尊敬する。

主人公の前途に幸あれ。

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コメント

トラックバックありがとうございます。
あぁ、なんてロマンチックで美しく解釈されたことでしょう・・・!!お見事です。
迷わず花言葉を調べました。
すずらん:純愛
ライラック:若者の無邪気さ 初恋 でした。

私がどうしても納得できないのは、「君の愛すら質に入れる」程冷徹な主人公が、彼女が嫁いだことを第三者からしか知らされないほどお互いに疎遠になっていたのに、君が嫁いだと知って本当に声を上げて泣けるのかということです。私は普通なら泣かないと思う。ましてや声をあげて、それも男の人が・・・今頃気が付いたって遅すぎます。貴方が自分勝手過ぎたのですと言ってやりたいです。それでは余りにも心が狭いでしょうか?青春は傷つき傷つけられるもの、それでも何時かは許し合えるものだと伝えたかったのかなぁ?
さださんのラブソングは難解です。

投稿: 案山子 | 2005年9月21日 (水) 22時40分

みやびさんの話を聞くと矛盾のないすばらしいストーリ展開に納得してしまいます。

さすがに今は手元に歌詞カードはないのでちょっと雑感。

この曲になぜスズランとライラックを使ったのか札幌人(私は元ですが)ならなんとなくわかる気がします。
両方とも札幌市の花と木なんです。
http://www.city.sapporo.jp/city/aramashi/index.html

そしてスズランは雪解け(もしくは春の淡雪)をそしてライラックは初夏をイメージさせてくれます。

冬物語を聞いていると真冬の雪ではなく、春先に降る、淡雪のようにすぐに消えてしまう幻のような雪のイメージを感じます。

他人の知らせで彼女の幸せを知ったということはそれまでは彼女の消息は知らなかったわけで、あの痛みにも似た愛は時間と共に記憶の隅に閉じ込められてしまいまるで何もなかった幻のようになっていた。
そんな時に知らせを受けて閉じ込めらていた記憶がふつふつと淡雪が舞い降りるごとくよみがえって来た、そんな印象を受けています。

よみがえった記憶というものは得てして美化されているものです。それらの記憶を思い出して思わず男泣き(?)をしてしまってもおかしくないかもです。

このコメントを書いて「夢一匁」が頭の中を流れました。

投稿: みつ | 2005年9月22日 (木) 01時16分

みつさん、
まぁ、なんてロマンチックな解釈でしょう!!
まさに、さだまさし の世界です。
やっぱり男性の方がロマンチストなのかなぁ~。
自分の現実主義に恥じ入ります。
みやびさんの指摘されたスズランとライラックの季節感をやっと理解できました。
さださんの花を隠し味に使った切ないラブソング、どれも ステキですよね。
私は「October」が頭の中を流れました。

投稿: 案山子 | 2005年9月22日 (木) 06時43分

案山子さん

さださんの曲は奥が深いので、こうして自分なりに解釈するのも楽しみの一つですね。フランスではライラックは青春のシンボルだそうです。私は声をあげて泣いた主人公を責める気持ちにはどうしてもなれません。完璧な人間なんていないし、過ちを犯してしまうのも人間。涙というのは様々な感情、矛盾、全てひっくるめて流れてくるものだという気がするのです。

みつさん

なるほど!スズランとライラックは札幌の花と木だったのですか。ますます合点がいきました。そうですね。「冬物語」は真冬のイメージではありませんね。私もそう思います。冬と春が一緒になっている感じです。みつさんの解釈に似ていますが、私も彼女が嫁いだことを知ったとき、自分の中に閉じ込められていた様々なことが一気に噴き出して、「声をあげて泣いた」のではないかと思いました。

作品と言うのは世に出れば作者の手を離れて一人歩きするものですから、それぞれの解釈でいいんじゃないかと思います。

みつさんは「夢一匁」案山子さんは「October」ですか。私は「虹の木」です。

投稿: みやび | 2005年9月22日 (木) 20時01分

>作品と言うのは世に出れば作者の手を離れて一人歩きするものですから、それぞれの解釈でいいんじゃないかと思います。

ええ、それはもちろんそうですね。
自分自身のなかでも時間や場所、状況で曲の印象が刻々と変わってくるわけですし。

>私は「虹の木」です。
ああ、なるほど。コレわかります。

投稿: みつ | 2005年9月22日 (木) 23時23分

みつさん

>自分自身のなかでも時間や場所、状況で曲の印象が刻々と変わってくるわけですし。

↑これ、同感です。特に昔聴いたときは漠然としか意味が分からなかったものが、年を重ねてきて、あぁ、こういう意味だったんだなぁって思うこと、よくあります。さださんの曲を聴き始めた時は、まだ子供でしたからね。

投稿: みやび | 2005年9月23日 (金) 00時10分

私が声を上げてなくってことはいつあっただろうか、ってちょっと考えてしまいました。
声を上げて泣いたことは恐らく少なくともここ5年は無いはずです。
でも、涙を流したことは色々有ります。結婚のとき、子供が生まれたとき、映画を見たとき・・・。ありふれていますね。
鬱になってから泣いたことがあるか、とふと思い出してみたら、無いんですね。鬱のしんどさで涙を流すことがあっても、それはそれで、感情が表に出ていていいんじゃないでしょうか。(私の場合は、それすらなかったのですが)
私の場合は、何でもいいから心から笑ったり、心から泣いたりできるようになれば、その前後で気分が重くても、回復の兆しなんじゃないかな、なんて思っています。心から笑うこと、泣くことは医学的にも意味のあることと聞いたこともありますしね。

投稿: あきちゃん | 2005年9月23日 (金) 01時17分

人生、いろんな涙がありますね。悲しい涙も、嬉しい涙も、切ない涙も・・・一つの涙だけでは生きていけない気がします。
私も病気の初期の頃は、何度も声をあげて泣きました。そのころはベティもいなかったし、主人は毎晩遅くて心細くて、その頃の医師は信頼できないしで、どうしようもなく涙があふれて仕方がありませんでした。

泣くことは医学的にも意味があるんですか!?一つ勉強になりました。

投稿: みやび | 2005年9月23日 (金) 06時24分

朝、早かったんですね。
今日は寝坊してしまいました。(子供のほうが少し早かった・・・)
今、私がリハビリ(と自分で思っている)で読んでいる本に、こんな一文があります。
「ストレスを感じると、人間の体内では副腎皮質刺激ホルモンが分泌されますが、涙にはこの物質が含まれています。涙を流すことで、ストレスを体の外へ出す働きがあるといわれています。」
なので、苦しくなると泣きそうになったり、泣いたりするのは、人間の生理的現象なのですね。
だから、しんどかったり、苦しかったりしたときに、涙を流すと少し落ち着いたりするのは、その効果なのでしょう。

投稿: あきちゃん | 2005年9月23日 (金) 14時01分

あきちゃんさん

なるほど!ちゃんと医学的裏づけがあるのですね。確かに泣くとすっきりしますね。勉強になりました。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。

投稿: みやび | 2005年9月23日 (金) 21時55分

みやびさん はじめまして♪ 
案山子さんに教えていただきおじゃましました。

『冬物語』に聴き入り ジ~~ンとなってます。
最初は身勝手だと思っていたけれど、切ない心の深さも見えてきて
また、皆さんのそれぞれの解釈になぁ~るほど♪です。
聴く度に新鮮な気持ちになりますね。

泣きたい時には 泣く! 賛成!!
あ~しちゃいけない こ~しちゃいけないと私達は
いつの間にか心の枠に縛られています。
泣きたい時には泣き、怒りたい時には怒る!
せめて自分の心には素直に生きたいと思っていますが・・・

投稿: 檸檬 | 2005年9月26日 (月) 09時40分

檸檬さん

いらしてくださってありがとうございます!「冬物語」は聴けば聴くほど好きになります。確かに身勝手と言えば身勝手な主人公ですが、そんな男に女は惹かれたりもするんですよね。

そうですね。私も自分には素直でありたいと思います。これを機に、よろしくお願いします。

投稿: みやび | 2005年9月26日 (月) 22時58分

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